業界 | 仲卸事業者 |
従業員規模 | 約 200名 – |
背景
事例企業は、都市部全域にまたがる市場の花き(かき)商品を扱う仲卸事業者である。生産者が生産した商品をセリで仕入れ、都市部の各店舗へ販売する事業を営んでいる。
この企業の最大の強みは、日本でも最大級の取扱量と、競合内に先んじたIT化である。豊富な取扱量があることで、小売業者は複数の市場を回ることなく仕入を完結することができ、利便性の面でも他社と比較して有意な立場をとっていた。
課題
<既存の制約を前提とした荷受業務の効率化を実現する運用体制構築の必要性>
同社は、豊富な取扱量からロジスティクス面での課題を多く抱えていた。
しかし、仲卸事業の性質上、市場内作業が前提となり構内設備投資が難しい制約があることから、打ち手が限られていた。
一方で、「2024年問題」でも挙げられている、ドライバー不足や輸送コスト上昇による影響が顕在化しつつあったため、「荷待ち時間の短縮」「荷役時間の削減」を含めた業務課題を早期に解決する必要性が生じていた。
【荷待ち時間に関する課題】
・長時間待機:早朝のセリの時間に間に合わせるために納品トラックが特定の時間に集中
→ 市場周辺での長時間待機が常態化
→ 待機トラックの列が市場周辺の交通渋滞の一因に
【荷役時間に関する課題】
・非効率な荷降ろし作業:市場内の荷受場所のスペースが十分でない中で、納品トラックの荷降ろしを着車順に実施。
→計画的に作業ができない状況が発生。新たな荷降ろしのために荷降ろし完了した商品を再度移動・整理するといった煩雑な作業が追加発生し、荷役時間の長期化を誘発
シーオスが提供したサービス・ソリューション
<全体的なアプローチ>
本プロジェクトでは、「荷待ち時間削減」「荷役時間削減」として導入されるトラック予約システム導入を前提としつつ、サプライチェーン全体の詳細把握を行いながら、業務の全体最適化を目指すことから着手し、運用設計と現場実装の両面で進めることとした。
花き業界のロジスティクスの物流特性を把握するうえで、2種類の荷姿・商品特性について補足を行ったうえで、具体的なアプローチを紹介する。
荷姿は鉢、切り花(段ボール)の2種類がある。
鉢は長持ちする一方で土に植えられた状態となることからトラックの積載効率が低下する特性があり、段ボールの場合は積載効率が向上する一方で商品は長持ちしない特性がある。
鉢の場合は重量も増えるため業界標準の花き専用台車(連結可能)を用いて搬送を行うため、各地点および市場内での搬送が容易となり作業効率が高い。一方、切り花の場合は生産地・中継地・市場それぞれで荷積み・荷降ろしが必要となることから、作業効率・搬送効率が低下する特性がある。
<具体的なアプローチ>構造的な遅延要因を「見える化→制御→短縮」で断つ
①到着集中の分散(予約によるピークカット)
荷捌き場のキャパシティを超えないよう導入したトラック予約受付システムTruckBerthにて、荷捌き場別の上限枠を設定し、運用中に予約刻み(30分→15分)を含む諸条件を最適化した。これにより、特定時間帯への着車集中を抑え、場外待機と構内滞留を段階的に解消した。
また、予約変更作業は管理画面上からドラッグ&ドロップの簡単な作業で即時反映される仕様のため、変更内容は関係者で即時共有できるようにし、現場とドライバーの手戻りを最小化した。
②動態管理(GPS)による車両現在位置と市場到着時間の可視化
ドライバーにTruckBerthのスマートフォンアプリを導入し、車両の位置情報と市場への到着予測時間を取得し、早着・遅延が発生してもその場で予約を変更、あるいは荷受作業の組み替えを可能とする運用を可能とした。
③作業工程・運用組み替えによる“荷役そのもの”の短縮
予約状況だけでなく荷役時間を分析することで荷待ち時間・荷役時間の効率化をはかった。具体的には荷捌き場占有時間の短縮のために、荷姿(鉢・段ボール)や什器(台車・パレット等)別の処理特性に合わせた工程見直しを行い、実作業時間の分布を15~30分以内に収める設計として定着させた。
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<支援内容>
TruckBerth導入・設定:
荷捌き場の空き状況を可視化し、予約から実績登録(到着・接車・出車)を標準化。画面上での予約変更(ドラッグ&ドロップ)と自動通知により、当日運用の俊敏性を確保した。
TruckBerthドライバーアプリ配布・運用教育:
荷捌き場の予約・予約変更・荷捌き場での実績登録、管理者側の画面操作・運用含め、現場と運送会社双方が使いこなせる状態に到達するまで伴走支援を実施。トライアル運用を踏まえて対象を広げるアプローチをとることで、確実に対象範囲を広げられる体制を構築した。
作業設計の再構築:
ピーク帯の予約を分散させることで荷捌き場のキャパシティ内での荷受運用を可能とした。また、専用台車の適用範囲を広げることで荷役作業短縮を実現し、待機+荷役の合計時間を短縮した。
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顧客のビジネス/業務上の成果
<本取組を通した実務上の効果>
・待機時間の大幅削減
事前予約なしと比較し、待機時間の7割を削減した。これはピーク分散と予約・実到着の乖離縮小の複合効果であり、構内渋滞の抑制、場外待機の解消に直結した。
※荷捌き場のキャパシティ超過の根本原因は同時刻帯の同時到着であることを明らかにしたことが効果創出に直結。荷捌き場別上限枠と予約粒度の設計により、まずピークを低く平らにしたことが、すべての改善の前提となった。
※TruckBerthの予約だけでなく、早着・遅延時に予約変更することで予約枠の最適化と現場での運用吸収を可能とした。結果として予約時間と実到着時間の乖離が縮小し、荷捌き場の稼働率向上につなげる結果となった。
・荷役時間の分布改善(15~30分枠への収束)
予約粒度の最適化と工程見直しにより、60%が15分以内、90%が30分以内で作業完了する状態が確認された。ドライバー拘束時間の内訳においても、待機比率が縮小し、実作業の効率化が実証された。
・CO₂排出の削減(燃料法試算)
待機時間の短縮はアイドリングの削減に直結し、CO₂排出量も7割削減と推計された(燃料法での算出)。
・人員平準化と計画休憩の確保
車両到着時間の分散と車両位置の見える化により、シフトの波が緩和し、計画的な休憩配置が可能になった。ドライバーからの呼び出し頻度も低下し、画面操作のみで作業完結できる場面が増加した。
まとめ
本コラムでは、構内設備を増やさずとも、予約で入口となる到着車両数を平準化し、GPSによる状況把握で現場対応の柔軟性を強化し、工程・運用を物流特性に合わせて最適化するという三位一体の運用変革により、待機と荷役を同時に縮減できる事例として紹介した。
待機時間の7割削減という実績は、ピークカット(上限設計・粒度最適化)、当日運用の同期(予約変更・通知)、作業そのものの短縮(搬送什器活用)の相乗効果の結果である。加えて、人員平準化・計画休憩の確保、CO₂削減といった副次効果も得られており、環境制約を変えずに成果を出すための再現性ある方法論として他拠点・他業種にも適用可能である。
当社の支援の核は、経営課題の解決に直結する「現場の見える化」と、その実態検証に基づいた実効性のある改革案の提示にある。現場の実態を正確に把握しなければ、実効性のある改革は実現できない。現場にこそ内在する情報を適切に抽出し、改革案の立案に活かすことで、初めてその効果は最大化される。
本事例で示したアプローチは、近年課題視される、荷待ち時間短縮・荷役時間削減といった構造の抜本的な見直しの際にも参考にしていただきたい。
効率化・無人化・安全性の向上による物流現場の革新

どのように取り掛かればいいかわからない、自社にはどんなアプローチがいいのか知りたい、といった事があれば、お気軽にシーオスまでご相談ください。

シーオス株式会社では物流に関する豊富な知識と経験で多くの物流改善を行って参りました。まずはお気軽にご相談ください。